Vol.25

『お土産の苦悩』


インド料理のレシピ買いました。
インドのセレブなマダムが書いたと思われるもので、簡単に作れる朝食からパーティ料理まで載っております。
お値段350Rs(850円前後)。


写真が一杯載っているのですが、なかなかおいしそうです。


「これで日本で本場のインドカレー作れますよ!」
若干テンション高く、相方の人に話しかけます。


この話題に興味が心底無さそうな相方の人は「最近、そういう本格的なレシピも日本で、日本語で書かれてんの売ってるけどね」


「え・・・(多少沈黙)。いや、いや、でも、スパイスとか材料とかインドでしか手に入らないし。ここで買い揃えるためにはレシピなきゃいけないし。レシピと材料はインドで揃えておかないと!!」


この会話を早く終わらせたそうな相方の人は言いました。
「日本でも、紀伊国屋(スーパー)とか、ちょっと良いスーパーにいったら、インドより品質の良いコリアンダーとかスパイスも揃うよ」


研究室の皆様・・・
別に私が帰国するのを待つことなくインドカレー・・・作れるそうですよ・・・・
あの・・・でも・・・私の気持ちのこもったレシピとスパイスの入ったカレーが食べたくありませんか?
お土産って、内容よりも”気持ち”ですよね!
ええ、日本で手に入るとわかっていても、買って帰りますよ、インドスパイスを。


あ、別にいらないなら、いらないって正直に言ってくださいね・・・


私の涙(スパイス風味)がお土産になるかもしれません。





『最高級ホテル』


調査に協力してくれていた相方達とも明日お別れ。
最後に、お礼と彼らの調査打ち上げを兼ねて、タージマハル・ホテルにて豪遊してきました。


先にも書きましたが、このタージマハル・ホテルはインドでもっとも権威のある最高級ホテルのひとつでございます。
宿泊することがないのにもかかわらず、私は意外とこのホテルをよく使う。
疲れたときにお茶を飲んだり、ムンバイでわかんないことがあったらコンシェルジェに教えてもらいに行ったり、またホテル内の書店やその他の店の品揃えが良いので買い物なんかにも重宝していました。
あと、現地の先生とか日本人との待ち合わせとかにも利用したりします。
邪道なのかもしれないけど、宿泊者以外でもサービスを享受できる。
私が多少あつかましいだけなのかもしれないけど。


最高級ホテルというのは、インドでは(ひょっとしたら世界的には?)デパートもしくは小さな町の機能も担っているんですね。


日本では、あまり育ちの良くない私ですので、あまりご縁のなかった最高級ホテル。
こういったホテルの利用の仕方や振る舞い方というのも、このホテルでいろいろ覚えたので、私を育てたホテルといっても過言ではないでしょう。
おかげで日本で、帝国ホテルとかヒルトンとか入ってもビビらなくなりましたし(無論泊まったことはない)。


さて、タージマハル・ホテルには、洋食から中華、インド料理、夜景の楽しめるバーなど、かなりのバリエーションの食事のできる店があります。
そういえば、私達はいわゆる”最高級のインド料理”というものを食べたことがありません。


「今日は、最高級インド料理と酒で、マハラジャ気分を味あわせてあげますよ。」


今日は、クレジットカード持参で気の大きくなっている私。
実際、いくらかかるのかとか見当つかない。
しかし、「たまにはババンと!!」という言葉と、「日本男児たるもの、世話になった人に最高級のもてなしもできずにどうする?!。」
という思いとが私を支えていました。


さすがに店員の対応から格を見せ付けます。
落ち着いた雰囲気で紳士な対応してくれるのです。
街での調査で根付いたインド人=ハイテンション、落ち着きがない・・・のイメージを見事に覆してくれます。
メニューを見ても何を頼んでいいのかわからないので、店員に「鳥かラムかでお勧めありますか?」と尋ねるわけですが・・・
それで、無茶な料理勧めてこない・・・
いや、並のレストランとか「お勧め」をお願いすると4人前ぐらいあるような鳥一羽丸ごと出されたりとかあるんですって。


またそのときに「鳥や羊よりも今日はサーモン料理が良いですよ」との返答。
インドにいない鮭?鮭のインド料理?
食欲と好奇心をそそる品です。
これは注文せざるを得まい。


これがまた絶品・・・生から火が通った瞬間を見計らった焼き方というのでしょうか。食べたらとろける柔らかさ・・・
食材の良さと火加減の絶妙さを伺わせます。
スパイスも、インドに多く見られる「スパイスで素材の味を殺す」といったものが見られず、絶妙な加減・・・


店員さん、ナイスチョイスです。


相方も言葉をなくしています。
「やっぱ、金・・・稼いでこういうところで、食事とか普通にできるようになんなきゃなぁ・・・」
貧乏学生達は、しみじみ誓いました。


ええと、このあたりから記憶が・・・
うーん、ビール何本空けたんだっけ???


えーと、羊も食ったし、鳥も食ったし、えびも食ったような気がする。
ナン(インドのパン)もうまかったなぁ・・・


えーっと、何皿頼んだのか・・・?思い出せないなぁ・・・



翌日、酔いも醒め、相方を見送り、ホテルの部屋(安宿)に一人残された私。


部屋には\\\\\な領収書と、タージマハル・ホテルにて撮った妙にハイテンションな写真(いかつい守衛さんと記念撮影までしてました)の数々がありました。


俺・・・最高級ホテルで何やったんだろう?


寂しくなった部屋で一人、いろんな不安に襲われる。
この不安な気持ち Priceless・・・